Long after Midnight - とうに夜半を過ぎてBlue Gene の日々のあれこれ。

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ミシュランの評価
評価:
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日本ミシュランタイヤ
¥ 2,310
(2007-11-22)
先日『東京版ミシュラン』が発売になり、ニュースでも頻繁に取り扱われるほど大変な話題になった。東京ではフレンチ3軒、和食5軒が三ツ星をとる大盤振る舞い。掲載されたレストランすべてに星がつくという異例の評価となった。

ちなみにホテルの評価のほうはぜんっぜん話題になってないのでレストランしか載ってないのかと訝しく思ったが、最高級と評価されたのが軒並み外資系だったので触れたくなかったのか、あまりに当然すぎて話題にもできなかったのか(※)。

私はイタリア版のレッドガイドを持っている。イタリアに旅行することが多いのでホテル選びをするときの参考にしているのだ。旅行中はあまり食事に頓着しないのでレストラン選びにはほとんど活用していない。

そう、本来ミシュランのレッドガイドとは「グルメ本」ではなく旅行ガイドである。ほかにもミシュランはグリーンガイドという観光ガイド本や地図も出版している。ミシュランタイヤを履いて自動車旅行をしよう!というタイヤの販促が原点にあり、旅行先の宿探しやレストラン探しに役立ててもらおうという目的でレッドガイドが作られた。

したがって、レッドガイドに出ているホテルやレストランは必ずしも高級店ばかりではない。レストランはぶっちがいのナイフとフォークの数でサービスや調度などの「快適さ」を表すランクづけがされており、これはおおむね価格や店の格と一致する(5段階、数が多くなるほど高級店)。その中でも星がつくのは「ベスト・チョイスとしておすすめのレストラン」という意味である。三ツ星は「卓越した料理、そのために旅行する価値あり」、二つ星は「すぐれた料理、回り道して寄る価値あり」、一つ星は「このカテゴリ(価格帯)ではいい料理」。ほかにミシュランのマスコット、ビバンダム君の顔がつく「ビブ・グルメ」という評価もあり、これは「28ユーロ(都市部は35ユーロ)以下で質のいい料理やその地方の郷土料理が食べられる店」をさす。そしてコインのマークは「20ユーロ以下で簡単な料理が食べられる店」。

さて、三ツ星が意味する「そのために旅行する価値」とはどういうことだろうか。
ミシュランの三ツ星を受けたレストランの中でも最高峰と言われるスペインの「エル・ブジ」。この店はバルセロナの北にあるロサスというビーチ・リゾートからさらに車で30分ほど離れた国定公園の中にある。まさにそこの料理を食べるため「だけ」に世界中のグルメがはるばる旅をしてくるというレストランだ。営業は4月から10月までの6ヶ月。一席を確保する倍率は2000倍だそうである。

まあエルブジは極端な例としても、ミシュランの三ツ星レストランはこのように「ちょっとハズレだよねぇ」みたいなイナカにあることが多い。タイヤの販売という原点に立ちかえれば当然のことなのだろうか。

ところで、イタリアではミシュランのレストランの評価はあまり歓迎されていない。なにせイタリア中でも三ツ星をとっている店が5軒しかなく、イタリアンに評価が辛いことで有名なのだ。

三ツ星レストランの数はフランスが26、ドイツ9、スペイン6、イタリア5、イギリス3、ベネルクス2。アメリカはNYとラスヴェガスしかガイドがなくて、各3と1。美食の国として知られるイタリアが味オンチの国ドイツより少ないとはナニゴトであろう。ちなみに『東京版ミシュラン』でも、イタリアン・レストランは150軒中8軒しかない。東京にイタリアンの店がかなり多いことを考えるとずいぶん異常なことである。

フランスとイタリアの間には歴史的確執があるのでそういう屈折があるのかとも勘ぐってみたが、そうすると同じくスッタモンダのあったドイツの店が評価されているのが解せない。最近は多少変わってきたそうだが、実はミシュランは伝統的なフランス料理を出す店に高い評価を与える傾向がある。したがって独自の食文化をもち、フランス料理を受け入れないイタリアは嫌いだというのが本音なのだろう。おまーら、カテリーナ・デ・メディチがアンリ二世に嫁入りするまでは手づかみで腐りかけた肉を食ってたくせに・・・と歴史的確執を持ち出してみるわたくし。

要は、互いに「美食の国」を自認する者同士の確執なんである。イタリアで権威あるレストラン・ガイドは『ガンベロ・ロッソ』。フランス人の評価なんざメじゃないぜ、イタリア人以外にイタリア料理の味がわかってたまるかてやんでぇ、ということらしい。

『東京版ミシュラン』は半分以上が和食の店だったそうだが、しょせん「郷土料理」ごとき、主流派のフランス料理の敵じゃないと悠然と構えているのだろう。それに日本人はなんだかんだ言ってもフランス料理が好きでそれなりのレストランもあるので、「黄色いサルにしてはわかってるんじゃないの」とお墨付きをくださった・・・というところか。つまりは舐められてるんだな、日本。全部に星がついたなんて喜んでるバヤイじゃない。怒れ。

だいたい、全部に星がついたらなにがベスト・チョイスかわからんだろう。時間のない旅行者には選択肢を絞ってくれないと。編集部タイマンすぎ。あ、まさか英語版は中身違ったりして・・・

あと、食べ歩きが趣味の友人にいわせると「特定のグループの店が多すぎ」ということで、言われて見ると「ひらまつ」の店がやたら入っていることに気づいた。それって・・・(笑)

ちなみにイタリアの三ツ星レストラン5軒はフィレンツェのエノテカ・ピンキオーリ、ソリーゾのアル・ソッリーゾ、マントヴァ県のどっか(町の名前読めません)のダル・ペスカトーレ、ルバーノのレ・カランドレ、ローマのラ・ペルゴラである。エノテカ・ピンキオーリは東京にも出店があるが東京版ミシュランには入っていない。また、ミラノの二つ星レストラン「サドレル」の東京店も載っていなかった。ついでに言うならば、ローマの「ラ・ペルゴラ」のシェフはこともあろうにドイツ人である。やっぱりミシュランはイタリアが嫌いなのね(笑)

(※)ザ・リッツカールトン、マンダリン オリエンタル、フォーシーズンズホテル椿山荘、ザ・ペニンシュラ 、グランド ハイアット、コンラッド 、フォーシーズンズホテル丸の内 が最高の「5+」、ホテルオークラと西洋銀座が「5」。シロウトに「東京で最高のホテルを10軒あげろ」と言ってもこの名前が出ると思うので、順当すぎてガイドしていただく必要がない(笑)

| 雑記 | 18:33 | comments(5) | trackbacks(0) | posted by Blue Gene
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Comment








ご無沙汰をしてしまいました。不義理申し訳ありません。
通常営業開始ですヨ〜♪

たぶん、だけど日本で伝統を守ってきちんと作るゴハンってイナカの郷土料理しかないんじゃないかな、と思っています。実は守るレシビが伝統を絶やさないという直列的な論理が食の世界にはあるんだけど、そしてその先には誰かがウマイ!と笑う顔が合って欲しいハズなんだけど・・・・調味やサービス以外にも経営やら面倒なアピールがまんま評価されちゃうガイドは結構コワイなぁ、と思います。大抵のライターのグルメブログなんかも相手に気遣う甘い言い回しばかり。食は生理的な主観ではあるけど、だいたい評価してる人がどんな人かすら分からない。日本って食うことにもっと真剣で良いのかな、という気がします。
posted by jaguarmen_99 | 2007/12/07 8:08 PM |
じゃがさま>
試験ご苦労様でございました。

日本料理の代名詞だった「吉兆」があんなにノレン分けしてたうえに不祥事を起こしてしまってるのを見ると、なんだか舌よりブランド(ミシュランも含めて)に振り回されるナサケない日本人の姿を見た気がします orz
posted by bluegene | 2007/12/09 11:12 PM |
イタリア、マントヴァ県のレストラン(町の名前はカンネート・スッロッリオ)も田舎です〜。うちから車で30分くらいのところでしょうか。もちろん行ったことはないですが。コースメニュー150ユーロ(ワインは別)・・・。
ここはミシュラン三ツ星で唯一(?)の女性シェフがやってるのでも有名みたいです。私はグルメでないし、こういうことにともて疎いですが、このレストランが毎年三ツ星もらってるのはなぜ?裏に何かあるの?ミシュラン怠慢?なんて話もちらほら聞きます。

P.S.近所でちっこい黒猫をよく見かけるようになりました。赤い首輪もしてもらってます。ご近所に迷信を気にしない人がいるようでほっ。
posted by ねる | 2007/12/11 2:11 AM |
ねるさま>
いらっしゃいませ〜。マントヴァ近郊在住でいらっさるのですね。ヴェローナあたりまでは行きましたが、マントヴァは行きそびれております。イタリアって小さな町に見所が多すぎて回りきれません orz

ミシュラン三ツ星で150ユーロかあ・・・恵比寿のジョエル・ロブションはコースメニューなら1万円前後ですね。昔は日本のレストランは高いと思ってましたが、インフレ&ユーロ高で、イタリアの物価がすごく高く感じます。

黒猫生存報告もありがとうございます。迷信深い人には、クロネコヤマトは魔女の宅急便に見えるのかしら・・・
posted by bluegene | 2007/12/12 11:18 PM |
我が意を得たり!拝読して快哉を叫びました。
よくぞ真実を突いて下さった!

それでも、あれで☆獲った事で、急に賑わった店も何軒も聞くので、大多数の人は評価して信じているのでしょうかしらね・・・

フレンチの母なる、イタリア料理!

まこと、よくぞ書いて下さいました。
posted by みーたろう | 2008/08/28 10:19 PM |
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